お金がなくても携帯さえあれば・・・

あれは、私のお気に入りのYAMAHAビッグスクーターMajestyに乗って遠出したときの話です。

 

3月初旬で寒かったのですが、革ジャンに身を包み、颯爽と走り出して山梨の勝沼まで来た時に

 

ガソリンが残り少ないことに気づきました。山道であまりスタンドもなく、しばらく探して、

 

ようやく寂れたスタンドを見つけた時にはガソリンの残量はほぼゼロになっていました。

 

店主に、レギュラー満タンと伝えてトイレに向かい、用を足して手を洗ったときに、大変な

 

ことに気づきました。

 

財布忘れた・・・

 

すぐにバイクの所へ戻りましたが、当然のごとく既にタンクは満タンになっていました。

 

店主に財布を忘れたことを伝えると、あからさまに嫌そうな顔をされてしましました。

 

それはそれで仕方のないことなのですが、最初から金がないのにガソリンを入れたように

 

思われるのはしゃくにさわるし、今更ガソリンを抜かれても動くに動けないので、無い知恵

 

を振り絞って考えました。

 

そこで、思いついたのがお財布ケータイです。そのスタンドは当然のごとくお財布ケータイ

 

で支払えるような立派なスタンドではなかったのですが、遠く離れたところにコンビニの

 

看板が小さく見えました。

 

店主にバイクは置いていくから少し待っててくれと伝えた私は、セブンイレブンに向かって

 

走り出しました。走りながら、バイクを使えばよかったと後悔しましたが、ガソリンの入れ

 

逃げだと思われるのが嫌だったので、夢中で走り続けました。

 

コンビニに入ってまっすぐにレジへと向かい、バイトのおねぇさんにこう言いました。

 

「これから2000円分買い物してお財布ケータイで支払います。でもすぐに返品するので、

 

お金は現金で返してもらえますか?」

 

バイトのおねぇさんは、驚いた顔で私を見つめ返した後、店長に確認してきますと言って、

 

奥の部屋に消えてしまいました。

 

私は、別に悪いことしているわけではないし、我ながらナイスアイデア!と思いながらレジの

 

前で待っていると、店長さんがやってきました。

 

すると、店の決まりでそういうことはやらないことにしているとの事でした。

 

しかし、ここではいそうですかと引き下がれば、無銭給油の汚名がかかるとの思いから、

 

店長には、財布を忘れて現金がなくてバイクもガス欠で家に帰れないことを必死の思いで

 

伝えました。

 

すると、その店長はとてもいい人で、そういう事情なら仕方がないからと言いながら、

 

その辺のものを適当に2000円分レジを通し、お財布ケータイで買った後に現金を手渡して

 

くれたのです。

 

私は心の底からお礼を言い、またスタンドに向かって元の道を走って帰りました。

 

スタンドの店主は店の奥に座っていて、帰ってきた私を見るなり外に出てきてお金ないなら、

 

ガソリン抜くとまで言いましたが、私はだまって1000円札を2枚渡しながらコンビニの店長

 

の爪の垢でものましてやりたいと思いました。

 

でも、携帯を持っててほんとによかったです。店長さんありがとう。